プロジェクションマップ制作の流れですが、
- 投影される物体の仕様の把握
- 投影される物体のデジタイズ
- 物体を効果的に利用した映像制作
- 投影時の調節
- 投影する内容の切り替えなどの自由度
と、いった感じでしょうか。
前半の3つは投影される物体の設計図などがあれば、普通のポスプロの環境で制作できますが、後半の2つは特別なソフトウェアが必要です。理想はいわゆるVJソフトに投影映像を歪ませる機能を持ったもの。歪ませ方も自由度が欲しいところです。たとえば、
このように1台のプロジェクタから3ソースの異なった映像を歪ませて投影することができるのが理想です。プロジェクターから投影される映像は光なので直進します。あらかじめ歪ませた映像を投影する必要がありますが、その歪みを映像の制作段階で作成するには非常に緻密な準備が必要になります。
なので、投影時に正体の映像を投影物に合わせてその場で歪ませることができるのが一番手軽な方法と言えます。また写真のように3面ある場合並びやタイミングなども3面独立して行えるものが理想といえるでしょう。
Millumin – ミルミン
今回試してみてよくわかったのですが、最後のビデオを物体に投影する際に、マッピング機能の差で大きく映像制作フローの効率度まで変わるということです。プロジェクターから出る映像はあくまで直進していくので、それをあたかも投影されている物体の面に沿って動くように見せるにはあらかじめゆがんだ映像を出す必要があるんですが、その歪みを映像制作で焼き込んでしまうのか、投影時に歪ませるかで大きく表現の自由度が変わるわけです。
その投影プロセスで秀逸だったのがMilluminというソフトウェア。シナリオを組み立てていく容量で、映像を並べていきますが、複数の映像装置に対してそれぞれの歪ませ方を設定していくことができます。ミルミンに搭載されているフェードなどのエフェクトはいわゆるVJソフトに比べると少し見劣りしますが、様々なソースにも対応しているMilluminは最終的な出力用ソフトとしてはかなりの高機能です。ハイライトのひとつはAfterEffectsのプロジェクトファイル、AEPをいきなり読めてしまうところ。シナリオにAEPファイルを落とすとAEPのレンダリング結果がそのまま出力されます。もちろん裏側で立ち上がっているAfterEffectsでそのプロジェクトの内容を更新すると、ちゃんとMillumin側でも映像の内容が更新されます。ライブでこの機能を使うのは厳しいと思いますが、映像制作時には非常に便利な機能です。
このミルミン、お値段は599ユーロとちょっと高めですが、小規模から大規模までプロジェクションマップ最終出力をメインで行うソフトとしては現在最高の選択だと思います。